全国生徒会大会2025 実行員員に聞きました
「当たり前を疑う」ことの大切さに気が付いた
近藤源樹くん(慶應義塾志木高校[埼玉県]3年)
・学校の生徒会での役職:(前)生徒会本部事務統括担当
◆実行委員の役目は?
副実行委員長と企画部を兼務しました。
副実行委員長としては、実行委員長を補佐する立場として、実行委員会全体の計画・統括を行い、他実行委員の円滑な動きをサポートすることが主な役目でした。また共催団体である(一社)生徒会活動支援協会の連絡調整も、主として正副実行委員長の担当でした。
そのほか、企画部も兼務していたので、大会当日に実施する企画・プログラムを、他の企画部員2名と直前期まで練っていました。
◆これまで何回、全国生徒会大会に参加しましたか? きっかけは?
全国生徒会大会には、2024年の開催時、一般参加者として足を運んで以来、2度目の参加でした。
当初、自校生徒会本部で外務を担当していて、お付き合いのあった他校の生徒会役員の方からお誘いを受け、その存在を認知しました。地域単位での生徒会交流会への参加経験はあっても、全国規模というのは想像もつかず、体験してみる価値があると思い参加したというご縁でした。
◆実行委員として参加しようと思った理由は?
私は、外務活動の一環として、生徒会関係団体の運営へ携わる意義を、個人レベルで自校とは異なるフィールドで組織体運営やイベント運営経験を積むことで、そのノウハウを自校の内務へ還元する、いわば研修のようなものととらえています。
その観点に立てば、全国規模のイベントを、地方在住の人など幅広い現役中高生が一体となって運営しているこの実行委員会は大変興味深く、実際に運営として加わって学ぶことも多いのではないかと思い、実行委員に志願しました。
◆実行委員の仕事で、一番大変だったことは?
自校生徒会内で事務方の役員を統率する立場にあり、かつクラブ活動でも主将を務めていたので、全国生徒会大会の運営に費やせる時間が限られていました。そのため夜間に活動するほかなく、生活リズムが乱れがちだったため、体にどうしても負担がかかり、それをいかに解消していくかという点が一番悩まされたところです。
しかしながら、生徒会役員としての仕事が趣味と一体化していたので、いざとなれば他の分野のタスクに手を出して頭の使い方を切り替える等、リフレッシュが比較的簡単な方ではあったと思います。
◆実行委員として、一番頑張ったことは?
会期が2日間あっても、実際に実行委員会が企画に使える時間は限られていましたので、タイムスケジュールの策定にあたり、企画全体の質とどう両立させるかという点には苦慮しました。
コンセプト「『生徒会的』思考の訓練場」(私が発案しました)に基づき、本大会の企画は、論理的思考能力の涵養を重要視し、アウトプット型コンテンツを多く取り入れました。これは従来の生徒会交流会にない特徴、つまり前例のない中、暗中模索していたというのが正直なところです。
当初、ディベートをしてみては、という意見等もありましたが、時間的制約がどうしても立ちふさがり、煮詰めているうちに、最終的な内容確定は参加者募集開始の直前になったと記憶しています。「一番頑張った点」となると、それを挙げざるをえません。
とはいえ、当日は運営の不手際により、大幅なタイムスケジュールの遅延も生じました。大会参加者の皆様には、この場をお借りして、改めてお詫び申し上げます。
◆「これは自分の成長につながった!」と思ったことは?
実行委員としての活動を通じ、自明性、つまり当たり前を疑うことが、とても大切なのだということを学びました。
僭越ながら、私は生徒会役員として通算3年活動してきた経験があり、人一倍生徒会活動については見識のある方と自負していました。しかしながら、本大会の運営過程(ことに模擬企画書作成の課題作成)で、自分が従来認識していたものとはまた異なる生徒会の姿が見えてきました。
例えば、自校では生徒会規約上、教員が生徒会役員の選任に介入する余地はほとんどありませんが、生徒会自体の位置づけが異なり、役員が校長によって任命される学校があることを、本大会で初めて知りました。
自分の中の「当たり前」を打ち砕かれましたが、これはひとえに、普段の立場も生活環境も異なる、日本全国の生徒会役員が集まる全国生徒会大会だからこそできた体験であると、私は考えています。
高名な米国の政治評論家、リップマンが、「人は見てから定義するのではない。定義してから見るのである」(『世論』)と述べているように、我々は知らず知らずのうちに、物事をステレオタイプに当てはめて判断しています。しかし、社会全体が多様化する中で、一種の政治機構としての側面を持つ生徒会、ひいてはその幹部である役員は、自明性にとらわれることなく、幅広い意見に耳を傾け、利害を調整する責務があります。その意味では、全国生徒会大会は学びの場として最適だったと思います。
私は実行委員という裏方仕事から、世を取り巻く自明性の罠に気づきましたが、参加者の皆様も同様の体験ができたというのであれば、これ以上ない幸せです。
◆全国の生徒会役員/今後役員を目指す人へのメッセージを!
どんなことでも、自分なりに筋を通して行っていくことに価値があります。
自治活動や文化活動は目に見えた定量的結果が見えにくく、周囲の理解を得るに際し、難儀することもあります。しかしながら、後になって自己の活動を客観的に批判、解釈したときに、自分がどのように成長して、周囲にどんな影響を与えていたのか、辿ってみると味わい深いものがあります(案外周りはついてきてくれるものですよ)。
それは大切な青春時代の思い出であり、生徒会活動は、体育部とも、文化部とも異なる独特な自己実現の場です。ぜひともそこでしかできない体験を突き詰めていただければと思います。。
あと細かいことですが、同級生は大切にした方がいいです。高校で私は、クラブも生徒会本部も同学年の構成員がほとんどおらず、少し寂しい思いをしましたから(笑)。