かがわ総文祭
郷土芸能 伝承芸能部門
沖縄の伝統行事がモチーフ 仲間を祝ってカニたちが楽しく踊る
沖縄県立八重山高等学校 郷土芸能部
3年 大嶺佐和さん 小林陽菜さん 鈴木花実さん 比嘉わかなさん 藤原礼さん 又吉結衣さん 盛山あいりさん
演目:「あんぱるぬみだがーま」
(2025年7月取材)
八重山地方に伝わる古い民謡を踊りに ストーリー性にも注目
―今回の演目について教えてください。
今回披露した「あんぱるぬみだがーま」は、石垣島にある名蔵あんぱるという干潟に生息する様々なカニにそれぞれ踊り手が扮し、生年祝いをする様子を表現したものです。
生年祝とは、自分の生まれた年の干支と同じ干支に無病息災を願って祝う沖縄の伝統行事で、「あんぱるぬみだがーま」は、主人公のみだがーま(目高ガニ)の生年を仲間のカニが祝うという、八重山地方に伝わる古い民謡を踊りにしたものです。
―今回の演目の特徴やみどころはどこですか。
この演目は、カニを模倣したキャッチーな動きが大きな特徴です。また、最初に2人の男女の漁から始まり、終わりにかけて様々な沖縄の伝統芸能を披露するカニたちが登場し、徐々に盛り上がりが高まっていくという起承転結が13分に込められています。そうしたストーリー性もみどころだと思います。
カニの動きを真似た所作を徹底的に練習
―今回の演目はどんな練習をしてきましたか。
演目自体は、今の3年生が1年生の県大会の頃にでき、そこからずっと練習に励んできました。昨年の3年生が引退し、新入部員が加わって新しい編成になってからは、立ち位置や構成も変わり、今年の5月頃から本格的に練習を始めました。
踊り手の1年生は、大まかな振りを覚えながら、「腰を落としたまま足を上げる」などの基礎を徹底して身につけました。2・3年生は、新しく変わった振りを覚えると同時に、1年生と一緒に振りの確認を行いました。地謡は、テンポがずれないように一定のリズムで弾く練習や、腹から声を出す発声練習に取り組みました。その成果を確かめるために、3年生が1・2年生をテストし、曲を覚えられるまで何度も繰り返し練習しました。
全国大会までの短い期間でしたが、部員が一丸となり、1回1回を大切にしながら、とことん練習しました。そして、外部指導者の方のご指導があってこそ、ここまで仕上げることができたと思います。
―今回の演目で、いちばん苦労したのはどんなところですか。
一番大変だったのは、新しい1年生を迎えて人数が増え、振り付けの構成が変わったことです。手や体の角度、回るタイミングを揃えることや立ち位置の調整、「カニ」に寄せた動きを意識するのは難しく、練習の中で何度も試行錯誤を重ねました。
本番が近づくにつれて緊張や焦りからミスが増え、雰囲気が張り詰めることもありましたが、外部指導者の先生や保護者の方々が開いてくださったBBQで気持ちをリフレッシュできました。そのおかげで部員の仲も深まり、気持ちを切り替え、本番には一体感を持って臨むことができました。
―皆さんの演技のいちばんの魅力はどこにあると思いますか。
踊り手と地謡の元気のある声と、心からの笑顔が1番の魅力だと思います。1人でもやる気がないと、この大人数で踊りを揃えることはできないので、大会本番でピッタリ息の揃った演舞ができたのは、1人1人のやる気が存分に発揮できたからだと思っています。
あとから自分たちで映像を見返したのですが、踊りのキレが良く、みんなの声もちゃんと出ていました。また、賑やかさと楽しさがあって、見ている人に自然と笑顔になってもらえるような演舞になっていたと思います。
八重山の伝統芸能の魅力を発信し続けたい
―普段はどんな活動をしていますか。
普段の部活では、今後の舞台で披露する演目の稽古や間近に控えた舞台に向けた練習に取り組んでいます。総文祭出場以外では学校の入学式や卒業式での演舞のほか、地域のお祭りや市のイベントでの公演、さまざまな施設への訪問公演などを行っています。こうした活動を、郷土芸能をより多くの人に知っていただく機会にしています。
―今後の抱負を教えてください。
郷土芸能部として、これからも地域行事や観光客に向けて八重山の伝統芸能の魅力を発信し続けていきたいです。また、他県と文化交流をし、自分たちの芸能との比較を通して新たな気づきを増やしたいです。
―最後に総文祭の舞台に立った感想をお願いします。
舞台に立つ前はとても緊張していつも通りに踊れるかどうか不安でしたが、全員で声を出して、大きな舞台で思い切り楽しく、私たちらしく「心からの笑顔」で最後まで楽しく踊り切ることができてとても良かったです。
また、3年生と2年生にとってこの全国大会は最後の大会となりました。3位にあたる優良賞をいただいたのですが、実は去年は2位にあたる優秀賞を受賞したため、今年は最優秀賞の文部科学大臣賞を目指していました。ですから優良賞という結果にすごく悔しい気持ちもありました。でも、全国大会に出場できたこと、賞が取れたことはとても嬉しかったです。
今のメンバーでしかできない唯一無二の演舞を全国大会の舞台で披露することができとても楽しかったです。この演目を考えてくださった外部指導者の先生方、いつも支えてくださる顧問の先生や保護者の皆さん、地域の方々へ感謝の気持ちでいっぱいです。最後の大会を最高に楽しくできて本当に良かったです。




