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かがわ総文祭

弁論部門

防災地理部で学び、学内で避難訓練を実施 次は愛南町を防災のまちに

愛媛県立南宇和高校  

3年 赤﨑未玖(あかさき みく) さん

弁論タイトル:「防災の町愛南〜あなたの日々を守るために〜」

(2025年7月取材)

災害時に命を守るため、人と人とのつながりを大切に

 

―今回弁論で訴えた内容を教えてください。

 

南海トラフ地震が迫る中、私の住む愛南町では津波がわずか7分で到達すると予測されています。私は防災地理部(大学講座)で事前復興を学び、避難訓練を企画・実施しました。この活動から、災害時には「人とのつながり」が命を守る鍵であるということを学びました。地域の防災力を高めるために、次は町ぐるみの避難訓練を目指しています。今回の弁論では、防災を愛南町の魅力の一つにし、全国に発信したい。あなたの日々を守るために、今、行動を起こしているということを訴えました。

 

―防災地理部について、もう少し詳しく教えてください。

 

防災地理部とは、東京大学大学院工学系研究科が運営している研究体で、本校では趣旨に賛同する有志が全国各地の高校生と一緒に活動しています。主な活動は、様々な立場の人と協力しながら、これから起こる災害の事前復興について研究することです。現地を歩き、被災地の人々と関わり、思いを受け継ぎ、考えたことを提案する取り組みです。

 

今回の弁論は、この、防災地理部の活動がもとになりました。防災地理部では昨年行われた東北研修に参加させていただき、二つの自治体の防災に関する住民の意識について学びました。また、地元愛南町の防災意識の向上を図るべく生徒主体の避難訓練を校内で実施しました。防災フォーラムなどにも参加し、地域の皆さんと防災に対する知識や意識を高めています。そこから得た学びや気づきを弁論しました。 

 

―今回の弁論で、一番強く訴えたかったことは何ですか。

 

最初にお話ししたように、「人と人とのつながりが大事だ」ということです。災害時に親しい人が近くにいる保証はどこにもありません。「遠くの親戚より近くの他人」という言葉があるように、いざというときには、周りの人たちで助け合わなければなりません。ですから、共助がスムーズに行えるように、地域の人と挨拶を交わすくらいの関係性を「斜めの関係」として、築いておくこと、人と人とのつながりの重要さ訴えました。 

 

町議会で発表する赤﨑さん
町議会で発表する赤﨑さん
防災地理部の3年生。右から2番めが赤﨑さん
防災地理部の3年生。右から2番めが赤﨑さん

 

多くの人からの助言や友達の応援で全国の舞台へ

 

―今回、なぜ、総文に出場することにしたのですか。

 

 国語担当の先生から「防災地理部」の取り組みについて発表してみてはどうかと声をかけていただいたことがきっかけです。そのときは不安要素がたくさんありました。でも、こうやって全国の舞台に立たせていただき、たくさんの方々と関わることもできました。熱心にご指導していただいたことにとても感謝しています。 

 

―今回の発表にあたりどんなところに苦労しましたか。

 

文章を書くことが苦手で、始めは体験や取り組んだことばかりの内容になってしまい、自分の気持ちを上手くまとめることができませんでした。また、弁論というものに初めて触れたので何も知識がない状態でのスタートでした。課題は数えきれないほどあったけれど、たくさんの方々に支えていただき乗り越えることができました。

 

内容については、防災地理部の東大生や南宇和高校の部員など関係者の方々にアドバイスをしていただきました。また、私の弁論を、校長先生をはじめ多くの先生に聴いていただき助言をいただきました。そのおかげで、自信を持って全国大会に臨むことができました。本当にありがとうござました。精神的にしんどくなる時があったけれど、友達が応援してくれたのが心の支えになりました。 

 

東北研修。防潮堤前にて。一番右が赤﨑さん
東北研修。防潮堤前にて。一番右が赤﨑さん

 

出場した弁士とかけがえのない時間を過ごした総文祭

 

―総文祭の感想を教えてください。

 

 結果で支えていただいた方々に恩返しをしたいと思っていたので、入賞できなかったことについてはたくさんの方々に申し訳ない気持ちです。でも、全国の舞台に立つという貴重な体験ができて嬉しく思います。また、各都道府県の弁士の方と会話をしたり、本番前には皆で緊張をほぐしあったりするなど、心優しい皆さんとの出会いがありました。

 

弁論は7分間という短い時間だけれど、その中にそれぞれが経験したことや考えたことなどが入っていて、皆さんが熱い思いを持って弁論に向き合っていることが伝わってきて、かけがえのない時間だったと思います。そんな場で素敵な時間を共有することができてとても光栄です。 

 

―今後取り組んでいきたいことや、将来の夢を教えてください。 

 

 防災地理部の活動がより多くの人に広まり、防災への意識が高まっていくことを願っています。私たちの取組は少しずつ規模を広げ、行政や企業など外部の方々と関わる機会も増えてきました。そこで得た学びは、教室では得られない貴重な経験であり、大きな自信にもなっています。将来の夢に向けて、この経験を胸に自信を持って挑戦を続け、愛媛県の南予から全国へ、防災をキーワードに未来を切り拓いていきたいです。

 

東北研修の様子。復興された町で防潮堤を臨む
東北研修の様子。復興された町で防潮堤を臨む

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