かがわ総文祭
弁論部門
拉致問題を「我が事」として考えてほしいと発信したくて総文祭へ
益田東高等学校 (島根県)
2年 丸田愛夢(まるた あいむ)さん
弁論タイトル:「私は声を上げる〜拉致問題に希望を」
(2025年7月取材)

中3から拉致問題に関心、拉致問題に関する子どもサミットにも参加
―今回の弁論の内容を教えてください。
今回私は、北朝鮮による日本人拉致問題を題材に弁論しました。拉致問題は1970年代から1980年代にかけて、北朝鮮工作員が日本人を拉致し、40年以上経過した現在に至っても解決していません。拉致被害者の中でも、私たちと同じような年齢で拉致の被害に遭った横田めぐみさんや、そのご家族についての弁論を制作しました。
拉致問題を知り、拉致の悲惨さやご家族の抱える思いを知るために、中学3年生の時に拉致問題に関する子どもサミットに参加しました。その時、横田めぐみさんの弟である拓也さんのお話を聴き、拉致について訴える動画を作成した経験をもとに、拉致問題を「我が事」として考えることの重要性を訴えました。
―今回の弁論で、特に強く訴えたかったことは何ですか。
私が弁論を通して特に訴えたかったのは、拉致問題を他人事ではなく、自分のこととして「我が事」として考えてほしいということです。
最近は日常にあふれている問題から目をそらして生活している人が多いと感じています。しかし、もし自分が目を背けていた様々な問題が自分の身に起きたら、大切な人に起きてしまったら…。拉致問題に対して、「悲惨な出来事だった」と人ごとになるのではなく、「大切な人が突然いなくなってしまったら」と想像し、この問題に向き合う人が増えてほしいと考えたため、このような内容を訴えました。
―総文に出場しようと思ったのはなぜですか。
私は中学3年から拉致問題について調べたり、積極的にサミットや講演会に参加したりという活動を行ってきましたが、自分の感じたことを自分から発信することができませんでした。そんな時に弁論大会があることを知り、まず県大会に出場して全国大会の切符をつかみ、総文祭で多くの人に拉致問題を発信したいと強く感じたからです
―今回の発表で、苦労したところがあれば教えてください。
県大会で、講評の際に「もっと自分自身が我が事にならないといけない」というアドバイスをいただきました。しかし、どうすればもっと我が事として話すことができるのか、どうやったら聴いてくださる方に拉致の悲惨さや悲しみ、自分の思いが伝わるのかなどの表現方法にとても苦労しました。
より一層感情を込めるために、中学校の時から集めてきた資料や、講演会に参加した際のメモにもう一度じっくりと目を通し、練習前に拉致被害者やそのご家族の方を頭に浮かべながら気持ちをつくることで感情が入ってきやすくなり、感情をこめて表現することができました。
自分の思いを伝えることができた総文祭は、まさに夢の舞台
―総文祭での弁論はうまくいきましたか。
私はあまり緊張しないタイプだという自負がありましたが、最後の練習の時も納得できる話ができず、手が震えるほど緊張したことを今でも覚えています。ですが、練習につきあってくれた家族・先生に「良かった」と言ってもらえるように、そして拉致被害者やそのご家族に私の思いが届くようにと思って舞台に立つと自然に言葉があふれ、気がつくとあっという間に弁論が終了していました。周りの人からも「とても良かった」と言ってもらえたこともあり、悔いなく終えることができました。
―総文祭に出場した感想を教えてください。
もともと人前で何かを表現することに対して強い憧れがあり、自分の思いを伝えることができる弁論大会という場所はまさに私にとって夢の舞台でした。様々な経験や想いを抱えた同年代の人たちの弁論を聴き、自分にはない経験や価値観を共有できたことはとても良い経験となりました。私の弁論の時もうなずきながら聴いてくださる聴衆の方がいたおかげで自分の思いをしっかりと伝えることができたと感じています。総文祭に出場することができたことで、より一層、拉致問題を様々な人に伝えたいと感じるようになりました。
―今後取り組みたいことや抱負を教えてください。
自分が今まで様々な活動を行ってきたことによって得ることができた経験を、しっかりと他者に、特に自分にはあまり関係がないのではないかと考えている人たちに対して、伝えていくことができるような活動を行いたいです。
また、自分の思いを伝えることの楽しさや大切さを身に染みて実感することができたことで、自分の進路や就職の際に、自分の思いをしっかりと伝えることができるように、自分のことや他者のこと、身の回りのことなど、様々なものや人に目を向けて、新しい気づきや経験を得られるようにしたいです。




