高校の図書館司書・先生が推薦!本の魅力 <1>
『アルコールで走る車が地球を救う』ほか
『AIにはない「思考力」の身につけ方』ほか
『火星の人』ほか
『「みんな違ってみんないい」のか?』ほか
環境問題・エネルギー問題について考える本
長崎南山高校 学校司書 松浦純子先生

アルコールで走る車が地球を救う
本間正義、横山伸也、三石誠司、小島正美(毎日新聞出版)
驚くタイトルですが、ここではアルコールはエタノールのこと。トウモロコシなど植物から作られたバイオ燃料を自動車や航空機の燃料として使えば、二酸化炭素の排出量を削減できることをカーボンニュートラルといいます。その実現のために私たちができることがわかりやすく書かれています。
[出版社のサイトへ]

13歳からのエネルギーを知る旅
関口美奈(KADOKAWA)
エネルギーって何?という少女モコの質問に、エナジーはオンラインで対話をすることになりました。数人のメンバーが加わり、エネルギーのことがわかり始めました。高校生にはわかりやすく、自分たちで何とかしないといけないと疑問を解決するわくわく感とエネルギー問題を深く感じさせられる本です。
[出版社のサイトへ]
ペットルと黒いかげ
活動・執筆・撮影:プラスチッくじら(発行:一般社団法人3710Lab)
海洋ゴミ問題に興味を持った長崎東高校の4人が探究活動を進めていくなかで、海洋ゴミ問題の根深さや問題に気が付いていきます。その過程がわかりやすく読みやすい絵本になっています。

松浦先生 一問一答
Q1.先生の好きな本のジャンルはありますか。あればお書きください。
エッセイ・歴史 イチオシは、『祖母姫、ロンドンへ行く!』
Q2.高校のころに読んで、影響を受けた本は?
夏目漱石の『こころ』に高校生のころに出合い、そのときは深さがわからなかったが、今は若い頃にわからなかったものが、自分の心に突き刺さる。
Q3.最近読んだ本で、おすすめしたい本は?
『汝、星のごとく』
思考力を高めたり、学び方について知れる本
山崎学園富士見中学校高等学校(東京都) 司書教諭 宗愛子先生

AIにはない「思考力」の身につけ方 ことばの学びはなぜ大切なのか?
今井むつみ(ちくまQブックス)
「思考力」を鍛えるには「ことば」が鍵となるということを、小さな子どもがことばを習得する過程を例に紹介しています。また生成AIの登場で、簡単に考える機会を奪われてしまうと警鐘を鳴らしています。なぜ知識を増やす必要があるのか、なぜ思考力が大事なのか、ひいてはなぜ学ぶのかについても考えさせられる良書です。巻末に、次の読書への手がかりが紹介されているので、興味の幅を広げるきっかけにもなります。
[出版社のサイトへ]

「自分の意見」ってどうつくるの? 哲学講師が教える超ロジカル思考術
平山美希(WAVE出版)
フランスで哲学を学び、現地の高校生に哲学を教えた経験のある著者が、フランスの哲学メソッドを紹介しながら「自分の意見」をつくるやり方を具体的に示しています。なぜ自分の意見をもつことが大事なのか、考えを深めるとはどういうことなのかを知ることで、ふだんの生活で人とコミュニケーションをとるときにも役立ちます。
[出版社のサイトへ]

たった40分で誰でも必ず小説が書ける 超ショートショート講座
田丸雅智(WAVE出版)
全国各地ショートショートの書き方講座を開催する作家の田丸雅智さんが、誰でも書けるショートショートのつくり方を紹介しています。創作するときのアイデアの出し方や発想方法は、日常的に考えるヒントにもなるでしょう。
「いくら短くても自分に文章を創作できるはずがない」「アイデアなんて浮ばない」と思っている人こそ、この本で紹介されている田丸式メソッドを試してください。試しにつくったその作品が、自分の新たな一面を知る機会になるかもしれません。
[出版社のサイトへ]

宗先生 一問一答
Q1.最近読んだ本で、おすすめしたい本は?
『月花美人』(滝沢志郎・角川書店)
Q2.感動した映画・印象に残っている映画は?
『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』
Q3.好きな漫画・アニメは?
『宇宙兄弟』
知る・考える・やってみる・わかる!?本
六甲学院高校(兵庫県) 図書館司書 澄川久美先生

火星の人
アンディ・ウィアー 訳:小野田和子(ハヤカワ文庫SF)
基礎知識を正しくつけること、それを実際に使うこと、自分なりに考えて応用すること…つまり“生きること”のすべてが詰まっています。火星にただ一人取り残されるという危機的状況なのに、ユーモアもあり、高校生にも読みやすいのでは。“科学嫌い”にも読んでみて欲しいな。
[出版社のサイトへ]

最前線に立つ研究者15人の白熱!講義 生きものは不思議
河出書房新社:編
今まさに世界の最前線で研究をしている気鋭の研究者が、こどもたちに向けて自身の研究やトンデモな日常を解説。それだけでもワクワクしますが、生きものの不思議さや自然界の無駄のなさには驚くことが多いです。好奇心を持つこと、検証すること、視点を変えてみることなど研究者の毎日は調べ学習のお手本です。
[出版社のサイトへ]

さかなクンの一魚一会 まいにち夢中な人生!
さかなクン(講談社)
ご存じさかなクンの自叙伝。ちょっとほかのヒトとは違っていても、大学に行っていなくても、好奇心と探究心があれば自分の道・自分の居場所が開ける人生があることを知ってほしい。“フツー”というあなたは何者?何をしに大学に行くの…と高校生の皆さんに問いたいです。
[出版社のサイトへ]

澄川先生 一問一答
Q1.先生の好きな本のジャンルは?
小説(ミステリ、SF、ファンタジー、時代小説)、エッセイ、生物・動物、民俗学に関するもの
Q2.高校のころに読んで影響を受けた本は?
ローラ・インガルス・ワイルダー著『大草原の小さな家』シリーズ
子どもの頃からの愛読書。アメリカ開拓時代の2家族の生き方は、働き生活すること、自立ということ、日本と外国の違い、等について考えるきっかけだったと思う。
Q3.最近読んだ本で、おすすめしたい本は?
アシュリー・ウォード著『ウォード博士の驚異の「動物行動学入門」 動物のひみつ』
教育について考える本
千葉県立東葛飾高校 公民科(「公共」) 内久根直樹先生

「みんな違ってみんないい」のか? ――相対主義と普遍主義の問題
山口裕之(ちくまプリマー新書)
DEI(多様性、公平性、包摂性)を示す言葉として、「みんな違ってみんないい」というフレーズがよく使われますが、本当にそうなのでしょうか。また、議論を終わらせてしまう言葉として、「人それぞれだよね」も多くの場面で耳にします。しかし、私たちが話し合い、お互いの違いを認め合うための共通の土台は存在しないのでしょうか。本書は、そんな疑問を考えるヒントを与えてくれる一冊です。
[出版社のサイトへ]

体験格差
今井悠介(講談社現代新書)
「公共」を学ぶすべての高校生や、教育に関心のある方におすすめの一冊です。スイミングスクールなどの習い事を幼少期に経験できるかどうかが、家庭環境に大きく左右される現実について考えるきっかけを与えてくれます。
[出版社のサイトへ]

実力も運のうち 能力主義は正義か?
マイケル・サンデル(ハヤカワ文庫NF)
「公共」を学ぶすべての高校生におすすめの一冊です。「運も実力のうち」ということわざがありますが、本当にそうでしょうか。本書は、学歴や能力が過大に評価されがちな競争社会のあり方を根本から問い直し、学校などにおける失われつつある公共性を取り戻すためのヒントを与えてくれます。
[出版社のサイトへ]

内久根先生 一問一答
Q1. 先生の好きな本のジャンルは?
政治思想です。(大学院での専攻でした。)
おすすめの一冊は、ハンナ・アーレント『人間の条件』。
人間を人間たらしめる条件とは何か。人と人との間にある共有可能なコミュニケーションを、どのように作り上げていくのか――本書は、その本質を考えさせてくれる一冊です。
Q2. 高校時代に読んで影響を受けた本は?
加藤尚武『現代倫理学入門』。
高校2年生の時、「総合的な探究の時間」の一環で読みました。「正しい嘘はあるのか」「最大多数の最大幸福の原理で判断することは正しいのか」といった問いを通じて、私の思考に大きな影響を与えてくれた名著です。
Q3. 最近読んだ本で、おすすめしたいものは?
村中直人『〈叱る〉依存がとまらない』。
「叱る」とは何でしょうか。人はつい、他人を変えようとするコミュニケーションを取りがちですが、他人を思い通りに変えることはできません。大切なのは、共に寄り添う姿勢です。本書は、DV、体罰、ネグレクトといった問題を通じて、人との関わり方を考えるきっかけを与えてくれます。
なんだかためいきばかり出てしまったら読む本
鎮西学院高校(長崎県) 司書 今村節子先生

あなたを丸めこむ「ずるい言葉」
貴戸理恵(WAVE出版)
日常生活の中でありそうなシチュエーションでの友人間の会話が再現してあるので、「それは同調圧力だ」と気づき「あなたの人生に必要なことはあなたが決めていいのだ」と自分に自信を持つきっかけにしてほしいと思います。
[出版社のサイトへ]

孤独と不安のレッスン
鴻上尚史(だいわ文庫)
「本物の孤独」と「前向きな不安」は人生を広げる…と著者はいいます。では「ニセモノの孤独」と「後ろ向きの不安」とどう違うのか、それを丁寧に説明してくれています。
また「つらくなったら誰かに何かをあげる」「あなたを支えるものを作る」などアドバイスも具体的です。生きていくために大切なことを細やかにレッスンしてくれるこの本を、いつも傍らに置いていてほしいと思います。
[出版社のサイトへ]

古見さんはコミュ症です。
オダ トモヒト(少年サンデーコミックス)
誰もが振り返るような美人の古見さんには近寄りがたいのか、なかなか話しかけてくれる人がいません。そして彼女は実は「極端に緊張してしまって、話したいのに話せない…」というコミュニケーションが苦手なコミュ症でした。そんな古見さんと高校で出会った只野君。そして個性豊かなクラスメイト達。どんな高校生活になるのかな?
古見さんの震える体に思わず「がんばれ!」とエールを送ってしまう「コミュ症ヒロインコメディー」。ニヤニヤ笑ってたまにぐっと胸をつかれて…。読みだしたら止まりません。
[出版社のサイトへ]

今村先生 一問一答
Q1.先生の好きな本のジャンルは?
ファンタジー 歴史小説 時代小説 若干ホラー? イチオシは、『営繕かるかや怪異譚』(小野不由美)
Q2.最近読んだ本で、おすすめしたい本は?
『川っぺりムコリッタ』(荻上直子)
Q3.最近、感動した映画・印象に残っている映画は?
『侍タイムスリッパー』
進路や将来に悩んでいるときに読む本
長崎市立長崎商業高校 粟田純子先生

銀の匙 Silver Spoon
荒川弘(小学館)
高校で、目的を見つけ、周りの人間を巻き込んで第一次産業から六次産業化まで起こすことが描かれています。マンガらしく日常が生き生きと伝わってきます。
[出版社のサイトへ]

女子大生会計士の事件簿
※画像は、『女子大生会計士の事件簿 DX.1 ベンチャーの王子様』
山田 真哉 KADOKAWA/角川文庫
ビジネスミステリー。巻末に会計ガイドがついています。楽しく読みつつ会計士の仕事がわかります。
[出版社のサイトへ]


粟田先生 一問一答
Q1.先生の好きな本のジャンルは?
ミステリー、SF、ファンタジー。イチオシは、シャーロックホームズシリーズ、『翼の帰る処』(妹尾 ゆふ子)です。
Q2.最近読んだ本で、おすすめしたい本は?
『春夏秋冬代行者』『嘆きの亡霊は引退したい』が面白いです。
Q3.好きな漫画・アニメは?
『名探偵コナン』
進路や将来に悩んでいるときに読む本
千葉県立柏高等学校 学校司書 油納朝子先生


油納先生 一問一答
Q1.先生の好きな本のジャンルは?
小説、写真集。小説では中村文則さん、写真集は、土門拳さんの写真集が好きです。
Q2.中高校生のころに読んで、影響を受けた本は?
中学生の頃ですが、J.D.サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』が大好きで、文学系に進みたいと思いました(その後、いろいろあって結局は農学部に進みました)。
Q3.最近読んだ本で、おすすめしたい本は?
安部公房『砂の女』