第87回情報処理学会全国大会 第7回中高生情報学研究コンテスト
そのときの「気分」に合った楽曲を勧めてくれるシステムを作る
東京学芸大学附属国際中等教育学校
竹内理恵さん (2年生)
(2025年3月取材)
新しい音楽推薦システムの構築と有効性
本研究では、楽曲の特徴量を基にユーザーの感情に合った音楽を推薦するシステムを構築し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることが目的である。従来の音楽推薦システムは、ユーザーの再生履歴に依存する協調フィルタリングが用いられているが、感情に即した選曲が困難である。本システムでは、エネルギーやテンポ、ダンサビリティなどの音楽特徴量と手動でラベリングした「嬉しい」「落ち着いた」「はつらつ」「悲しい」などの感情ラベルを用いて、感情に基づく推薦を行った。
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◆今回発表した研究を始めた理由や経緯を教えてください。
自分自身普段から音楽ストリーミングアプリを多用するのですが、アプリ側からおすすめの曲を推薦される際に自分のリアルタイムの感情と曲がマッチしていないことに違和感を覚えました。
従来の音楽推薦システムについて調べると、現在の推薦システムは、ユーザーの行動履歴に基づいた主に使われていることがわかりました。リアルタイムでユーザーの感情を把握でき、それに基づいた音楽を推薦できるようになれば良いと考えたのが今回の研究のきっかけとなりました。
◆今回の研究にかかった時間はどのくらいですか。
7か月ほどかかりました。
◆今回の研究ではどんなことに苦労しましたか。
私はもともと情報の知識がほぼ無く、全てのやり方を一から学びながら研究を行ったので思いのほか時間がかかり、わからないこともたくさんありました。プログラムを実際に動かしてみてもエラーが出てしまい、動くまでのコードの修正にとても苦労しました。
◆「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点を教えてください。
特に工夫した点は、感情ラベルの付け方です。感情ラベルの付与は主観的ではありますが、自分の感覚を大切にすることで、一般的な統計処理だけでは捉えきれない「体感的な違和感」などにも着目することができたと思っています。
また、プログラム面では、ランダムフォレストとロジスティック回帰という 2 つの異なるアルゴリズムを比較し、どちらがより感情分類に適しているかを検証しました。それぞれのモデルが得意とする点や苦手な点をデータから分析し、単に精度を見るだけでなく、なぜそのような結果になったのかを考察した点も、見ていただきたいポイントです。
◆今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことがあれば教えてください。
今の段階では、曲に対して抱く感情を自分自身でラベル付けをして推薦システムのモデルを構築したため、感情ベースの推薦システムに適している方法を見つけることはできましたが、主観的なシステムとなっています。今後は、よりたくさんのユーザーに適するシステムを作りたいと考えています。
※竹内さんの発表は、中高生研究賞奨励賞を受賞しました。
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