第87回情報処理学会全国大会 第7回中高生情報学研究コンテスト
一人暮らしの高齢者に朗報! AIによる認知症の早期発見機能搭載ロボットの開発
群馬県立高崎高校
チーム名:Dr.みまもりくん
吉ノ薗 陽向くん(2年生)
(2025年3月取材)
自然会話からの認知症判定機能つき会話ロボット「Dr.みまもりくん」の開発
2040年には、高齢者の4人に1人が認知症になると言われている日本社会において特に問題になっているのが「高齢者で一人暮らしの認知症」である。しかし、一人暮らしの高齢者にとって、認知症予防のための病院での検査や地域コミュニティの参加はハードルが高い。
そこで、自ら検査を受けることなく、日常生活のなかで認知症を発見し、自らコミュニティを探す手間なく、地域のサポートで社会活動に参加できる会話ロボットを開発した。
この会話ロボットは、AIによる自然な会話と、高齢者の危険を感知する「みまもり機能」に加えて、「AIによる認知症の早期発見機能」を持つ。この早期発見機能で使用したAIはOneClassSVMを用いて自ら学習させており、自らが意図的に行った会話の判定に成功した。
これによって、一人暮らしの高齢者でも安心して暮らすことを可能にすることができる。
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◆今回発表した研究を始めた理由や経緯を教えてください。
祖父が認知症になって入院し、コロナ禍ということもあって、あまり話す機会もないまま亡くしてしまったことから、認知症を早期発見することで、より長く過ごせる時間を増やしたいと思い、開発を始めました。
◆今回の研究にかかった時間はどのくらいですか。
主な機能は1か月ほどで、その後研究を少しずつ続けていました。
◆今回の研究ではどんなことに苦労しましたか。
認知症を早期発見するために独自のAIを作ったところです。
◆「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点を教えてください。
AIを作るにあたって、健常者の会話データと認知症の会話データがどちらも十分な量必要ですが、普通の機械学習モデルでは、認知症の会話データが少ないため、精度の良いAIを作りにくい、という欠点があります。そこで、異常検知に使われるOneClassSVMを使用することで、この問題を解消しました。
◆今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことがあれば教えてください。
データサイエンスを使用して渋滞学を研究してみたいと思っています。
※吉ノ薗さんの発表は、中高生研究賞奨励賞を受賞しました。
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