第88回情報処理学会全国大会 第8回中高生情報学研究コンテスト
学園祭の行列を消す“二刀流”呼び出しシステム
日出学園高等学校(千葉県)
チーム名:日出学園高等学校
メンバー名:片山友貴さん(2年生)
(2026年3月取材)
待機時間短縮の為の学園祭予約システム構築
学園祭の行列問題を解決するため、注文完了を知らせるシステムを開発しました。このシステムでは、在校生は「スマホ禁止」の校則に合わせてテレビ画面で、来場者はLINEで呼び出す二刀流の仕組みになっています。このシステムで長蛇の待ち列が解消され、全体の売り上げもアップ。利用者の満足度も90%以上という成功を収めることができました。さらにこの実践を通じて、「情報学的に見て『スマホ禁止』という校則は合理的か?」という、技術で不便を解消しながら、学校のルールのあり方そのものを問い直す視点も持っています。
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◆今回発表した研究を始めた理由や経緯を教えてください。
日出学園の学園祭では中高一貫校であるということもあり、飲食団体は非常に混み合うことがよくありました。またその際に生じる列が飲食スペースの入口を塞いでしまい、さらなる混雑を生み出していました。
私は「受付」「購入」「受渡」が同時に行われ、飲食物が引き渡されてやっと列が進むというシステムに問題があると考え、「受付」「購入」「受渡」を分割し、飲食物が出来上がってから呼出をすることで長蛇の列を解消しようと考えました。また、同時期には友達のT君が学校内に存在するすべてのアトラクションの待機時間を表示する「インフォメーションセンター」構想を立ち上げ、私もその構想の中核的な一員として、具体的には技術要員として参加していました。インフォメーションセンター構想の最大の問題はいかにして待機時間のデータを入手するかという点であったのですが、「予約システム」にこれを統合することで、
(1)待機時間・人数情報確保
(2)長蛇の列解消
(3)閲覧型のアトラクション価値向上
(4)日出学園におけるICT技術の向上
といったメリットを得られることに気づきました。ここに「予約システム構想」が発動したのです。
◆今回の研究にかかった時間はどのくらいですか。
計画自体は2025年4月ごろに立ち上がりました。そこから3か月ほどクラスメイト・教職員の方々、生徒会との交渉を進め、7~9月にシステムの構築を行い、10月の学園祭の2日間で実働させました。
◆今回の研究ではどんなことに苦労しましたか。
最も困難であったのはやはり様々な人々との交渉であったと考えています。
システム自体は非常に複雑ではないとは考えていますが、そこまで校則が緩い訳ではない、特にスマートフォンなどには不寛容である当校において、ICT技術を用いたシステム構築を、生徒会にすら所属していない一般の文系生徒が構築するというのは、なかなかハードルが高いものでありました。
しかしながらクラスメイトの人々の好意的な反応、また生徒会顧問の先生、そして生徒会長のご協力によって、どうにか完成と導入にこぎつけることができました。この場を借りて感謝申し上げます。
◆「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点を教えてください。
最も工夫したのは「いかにして導入に当たるリスクを最小化するか」というところでありましょう。先にも述べた通り、当校はICT技術関連を導入するにあたり、校則という問題が常につきまとっていました。また、ICT技術導入をリスクだと思う方も少なくありません。そこで当システムでは
(1)生徒会との綿密な話し合いによる、完全校則準拠型のシステム
(2)0円で導入できるシステムのみで構成することによる金銭的ハードルの最小化
(3)バックアップ・システムとしてのアナログ予約システムの準備
という3段階の対策により、どうにか当システムを導入することができました。
当初は日出学園全体での導入を目論んでいましたが、まずは動くかどうかという簡単なテストを行うべきであるという意見を受け、まずは5年5組1クラスでの導入という形に収まることになりました。技術的な面としましては、それぞれの無料枠に収めることを目的に各サービスを選択しました。
◆今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことがあれば教えてください。
当システムに関わる今後の展望としては、
(1)日出学園全体への導入(大規模化)
(2)より複合的なPOSシステム化(複雑化)
を目指していきます。当システムをさらに拡大複合化することによって、もともと校則改正という社会的な目標を所有していたこのシステムに、「経済的」な考え方を導入でき、情報・社会・経済を複雑に融合させていく道が開かれていくのではないでしょうか。
AIなどの、一点突破能力が非常に高い技術が登場するこの世の中において、今後大切になっていくのは、近代まででは別学問として分断されていた知識を有機的に結んでいくことであると考えています。日出学園に、そのような考え方を広める第一歩にはふさわしいシステムであると思います。
また、より具体的な方針としてはGoogleのシステムを多く使っているため、Geminiを搭載し、来場者様の意見を聞き、おすすめの展示物を教える⇛そのまま予約、といったシステム、よりわかりやすい混雑状況の表示などを導入したいです。
私個人の展望としては、「情報科的アプローチ」「社会的な視点」、そして「物語」を用いて社会情勢を注視していきたいと考えています。当システムであれば「校則改正」という社会的な視点から、システム構築という「情報科的アプローチ」を行えたと考えています。今後はこれに「物語」の力を加え、さらにおもしろい研究に取り組めたらなと考えています。総合的な探究の時間では「OSINT」に取り組んでいましたので、これらも組み合せられるとより良いですね。。
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